「奇貨居くべし」に続き、宮城谷昌光の「孟嘗君」も久しぶりに読み返しました。
商鞅、孫臏、孟軻、屈原、張儀など春秋戦国時代の偉人たちが次々と登場、殆どがフィク
ションですが、孟嘗君と絶妙に結びつけているのが宮城谷さんの構成力です。
孟嘗君育ての親となっている白圭は、周の時代に実在し司馬遷の『史記』に記されている
商業の祖師で、義を買い、仁を売り、利は人に与えたとされています。
孟嘗君(幼名:田文)は斉の威王の弟田嬰と青欄の間に生まれますが、5月5日生まれは
親を殺すという迷信から田嬰は田文を殺せと命じ、青欄は田文を守る為、臣下に宮廷外へ
運び出させ、その田文を縁あって育てるのが、大商人の積み荷の用心棒をやっていた頃、
いつも無事に届けて福の神とされた風洪(後の白圭)です。
その白圭が田文に「人を助ければ、自分が助かる。文どのを助けたおかげで、こういう
生き方ができた。礼を言わねばならぬ。」と言い、田文は「その数十倍の礼を申さねば
なりません。」と答えた処、白圭は「そうではない。助けてくれた人に礼を言うより、
助けてあげた人に礼を言うものだ。」と説いた件が響きます。
この後、田文は、孟嘗君となり、仁を最も広く大きい規模で具現化していきます。
孟嘗君より「白圭」に動かされますが、主人公がさまざまな人の影響を受け成長していく
元気が出る全5巻の長編小説です。


