新光産業株式会社

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社内ブログ

好循環は実現するか?

  • 2024.02.01
  • 投稿者:バーディー

日銀の上田総裁は、12月の金融政策決定会合前に「年末から年始にかけてチャレンジングになる」と発言し、金融市場が「いよいよマイナス金利政策をやめるのか」と敏感に反応して一気に円高となったが、結局は1月の会合でも「実現の確度は高まっているが未だ確信できない」とし異次元緩和策を維持しました。

しかしインフレ率自体は既に2%超を2年以上持続しているにも拘らず日銀の言う「物価と賃金が共に上昇する理想的な好循環」を確信する判断など「一寸先は闇」と言われる世の中にあり得るのかと素朴な疑問が湧き、余りに「金融論の専門分野」に拘り過ぎて象牙の塔に籠っている様にも見えます。
いつまでも慎重にし過ぎると米国FRBが利下げして日本は利上げしにくくなること(日米金利差が縮小して円高を招く)やインフレ率が目標の2%未満に下がってくる可能性も高くリスク要因が増え、結局、金利の正常化はできなくなる可能性が結構あるのではとの意見も多いです。

しかも、この「物価と賃金の好循環」というフレーズは、すべての国民に受け入れられている訳ではない。大企業は、安定的に2%程度のインフレ率の下、業績伸長が実現でき金利も1~2%程度であれば、居心地は悪くないが、今や国民の1/4を占める年金生活者にとっては、今までの「年金も増えないが物価も上がらないし金利はないが預金も目減りしない金利のない世界」は、結構居心地の良かったが、「金利のある世界=インフレ率がプラスの世界」は、年金額が上がらない中、生活費は上がり余裕がなくなる上に虎の子の預金は、インフレにより年2%程度目減りして行くので生活しずらい環境になるかも知れない。
また、住宅ローンの利用者も変動金利で借りている人が多い(7割超もいる)ので「金利がある世界」へ移行すれば支払額が増え借入過多の人は、厳しい状況に追いやられることともあるかも知れません。
更に「金利のない世界」で事業を運営してきた事業利益率1~2%の会社にとっては、金利を支払ったら、利益率は、0~1%以下となり、継続企業として生き残れるのかという問題を抱える企業が出てくるでしょう。
 
振り返れば、今回のインフレ率のピークは41年振りと言われる程高かったが、インフレにも「いいインフレ」と「悪いインフレ」があり後者の典型的例は、現在のアルゼンチン(約200%)やトルコ(同60%)で輸入物価の高騰で国民生活は苦境に陥っており、ここまで行くと為替政策や金融政策では制御不可能です(日本がこのレベルまで落ち込むことはないが)。
果たして「いいインフレ」に誘導することが出来るのか(あの米国FRBですら直近インフレ制御に失敗したのに)10年間も異次元緩和策を実行したのにインフレ誘導が余り成功しなかったことも勘案すれば、疑問です。

そもそも物価が上がるから賃金が上昇するのではなく、生産性が上がり日本全体で付加価値が上がるから、賃金上昇が達成でき、結果、安定的に「物価と賃金の好循環」が実現するのが本来の道筋でしょう。そのためには、技術革新や設備投資及びその背景となる人材の確保と育成がなければならないと断言する著名経済学者も多い。

一方で、付加価値を上げてから賃上げするのではなく、まず賃上げして社員の意欲をアップしてイノベーションを起こすことを目指すという考え方の企業が上場企業には増えつつある模様(そうしないと優秀な人材は集まらない)。

何れの考え方が正しいかは判断が難しいですが、いつの世も先行き不透明なのだから、いつまでも理想的な「物価と賃金の好循環」の確度に拘っていると(且つ、その好循環は日銀だけで達成できる訳ではないことも勘案すれば)金利の正常化のチャンスを逸し、景気悪化時の選択肢がなくなる事態に陥らない様にして欲しいものです。

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